クラシック: 2005年11月アーカイブ

この世で最も尊い音楽といえばバッハというボクにとって、宗教心に著しく欠けるボクであってもバッハの宗教音楽を聴いている時は神に誓いを捧げる子羊のよう。

バッハは大好きなんです。

今年の初めに来日したミッシェル・コルボの「マタイ受難曲」を聴いて大いに感動し、本気で聖書を読み直したのがつい先日のよう。

でも、聖書って難しいよな。

バッハの時代は読み書きできる人も少ないせいもあって、教会で音楽に合わせて聖書の内容を伝えるというスタイルが取られていたワケだが、それが一連のカンタータであり、受難曲の数々なんである。

一般的によく聴かれるのがバッハの「マタイ受難曲」であるわけだが、バッハの残した現存する受難曲としては、あと「ヨハネ受難曲」があるわけで。

どちらも名曲だが、曲が長い分、「マタイ」の方がより奥深く内容があって、ぜひともバッハ初心者には「マタイ」の全てを感じ取って欲しいと思います。

今回聴きに行ったのは、シュナイト指揮シュナイトバッハ合唱団/管弦楽団の「ヨハネ受難曲」。

シュナイトのバッハといえば、数々の名演があることで知られているらしいが、ボクも前回の「ロ短調ミサ」を聴き逃しているので今回は期待度満点で東京オペラシティに向かう。

オケは東京フィルの臨時編成らしいが、合唱団は素人さん。一抹の不安。

不安というのは合唱そのものではなく、周りが身内ばかりなんである。チケットも割とギリギリで取ったのだが、かなり後ろの端で、今にして思えば「身内が相当来たんだな」と。

合唱団が舞台に上がると、不安的中。数列前のおばさんが舞台に向かって何度も手を振ってる。うざいよ・・・orz

演奏が始まっても小声で話している人や、キャンディの袋をガサゴソしている人大勢(←よくあるのだが、これ案外気になる)

困ったのは、2つほど左に座った人が楽譜をかなり大きい音でめくっている。これを2時間も続けられたんじゃ堪らない。思い余って注意すると・・・

外人のおばさん。

「私はこの演奏のスコアをみてるんだけど何か?」という表情をするので、「分かったから音は立てるな」とジェスチャーで会話。

その後は静かにめくってくれたので良かった。スコアやパンフを見るのは構わない(それが良いマナーとは思わないけど)が、音だけは立てないでくれ。

挙句の果てに、第二部の途中でおじいさん退席。具合が悪くなったとかかもしれないが、ズカズカ音を立てながら雄弁に退席。本当に勘弁して欲しい。

「レコーディングする」ってアナウンスがあったじゃんかよう!

これだけでアマチュア合唱団の公演は辟易したのだが、音楽自体もボクの苦手な、重~い演奏。シュナイトにしてみれば伝統に根ざした演奏かもしれないが(公演後のはしゃぎっぷりを見ればその満足度が分かる)、これは演奏がいい悪いというよりも、全くと言っていいほど自分の趣味に合わなかった。

エヴァンゲリストももっと若々しい人の方がいいのに。

正直、退屈すぎて途中で寝たので、どこがどうとか、良かったとか悪かったとかいう資格すらないんだが、本当にボクの好みの演奏ではなかった。逆に、古楽器でキビキビ演奏してくれないと曲がボクには伝わらなかったという事が分かって良かったかも。

あと、フルートのお姉さんに一人とてもキレイな人がいたので、もっと近くで見れたら良かったな。

でも、好きな人にとってはいい演奏だったと思います。ただ単にボクが好きじゃなかっただけなので、これを見て「シュナイトはダメなのかー」と思わないで下さいね。だって、その後にバッハ・コレギウム・ジャパンの「ヨハネ受難曲」を聴きなおしたら、とても感動したもん。

まぁ、アマチュア合唱団っていうのは周りがあまりにもお粗末なんで嫌になったけどね。


マリス、再び

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そんなワケで、遠路はるばる横浜のみなとみらいホールへ。横浜は遠いのに、ナゼか行ってしまうんだな。ちょっとだけ近い川崎ミューザには行ったことないのに。アレか、昔、ハマヘルに通ってた頃のDNAがそうさせるのか!(←謎)

今回はマリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団の公演。

プログラムは以下。

・チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番(ピアノ:イェフィム・ブロンフマン) ・ショスタコーヴィチ:交響曲第5番

昨年はロイヤルコンセルトヘボウ管と来日して、ベートーヴェン、ブラームスの交響曲第2番を堪能させてくれたが、今回はもう一つ首席を勤めるバイエルン放送響との来日。プログラムはありがちだけど、「これで外したら大変なことになっちゃうようねぇ」的な名演間違いなし演目なので、ボクは期待しちゃうんです。

(本当はストラヴィンスキー「火の鳥」とベルリオーズ「幻想交響曲」聴きたかったけどさ。)

今回は座席が1階の最前列。1stヴァイオリンの目の前。ピアノの「STEINWAY&SON」の文字も良く見える。

ブロンフマンとヤンソンス、仲良く登場。ブロンフマンはもうおっさんなハズだが(50くらいだったかな?)、なかなかキュートな顔のおっさんで、とてもいい人そう。「ブロンフマンのおじちゃんにピアノ習いにいこーっと!」と言いたくなるような。


そして演奏が始まる。

よく聴きなれたピアノ協奏曲の印象的なイントロ・・・


昨年は初めてのクラシックコンサートという事で、最初の一音を聴いただけで感極まって目頭が熱くなったが、今回もまるでそれを回想するように熱いものがこみ上げてくる。

ブロンフマンのピアノがルックスに似合わずこれまた凄い(ルックス関係ないね。ごめんね)。男性ピアニストらしい太く強い音が目立つが、全くうるさいとは感じず、むしろ暖かささえ感じるのである。ブロンフマンも靴底をガンガン床に鳴らして(最前列だから聞こえちゃうのよ)大熱演。

CDではアルゲリッチ盤が女性的な繊細さで最高と思うが(繊細なだけではないがCD評じゃないのでここでは省略)、男性的なチャイコフスキーとしては今、目の前で繰り広げられている演奏が最高なのではないかー!

昨年はヤンソンスが曲中だというのに「ウーウー」唸ってリズムを取っていて
、これで世界の有名オケからひっぱりだこというのだから凄いおっさんだなと思ったが、今回は案外大人しい・・・と思ったら、やっぱり地味に唸ってた。唸り声の隠し方が上手くなったんだろうか、ヤンソンス。まぁ、これを聞くと「ヤンソンスだなぁ」と思うのでいいけど。

途中で、「ブヒャッ」(←文字にするのが不能な音)という異音がする。
「演奏中に弦が切れた」なんて話も聞くので、ひょっとしてそういう珍しい光景に出くわしたのではないかと期待して見ると、1stヴァイオリンの奥の方のお兄さんが大きなくしゃみをした模様。すかさず鼻を押さえてました。風邪気味なのかな?お気をつけて。

最前列だけに目の前の1stヴァイオリンの音色がダイレクトに伝わってきて素晴らしい。低音弦は音像がかなり遠くこもった感じで、なおかつ更にこもるホルンと同時に音が出ると、チェロの音がホルンに被さってしまうというちょっと難アリな座席状況だったが、フルートは大変美しくて痺れた。


とても素晴らしい、ピアノ協奏曲だった。


・・・と書きたい所だが、隣に座っていた1階1列10番のボケサラリーマン(大きなリュックを背負ってたので田舎もんか?)がコソコソとデジカメをいじってるのが目に付いて非常に目障りでムカつく。隠し撮りでもしてるんだろうが、やるならもっと上手くやればいいのに。殺そうかと思ったが、身も心も仕事もアダルトなボクは1曲目終了後にやんわりと注意をしてさしあげる。そいつは分かったような顔をしていたが、最後までデジカメを気にしていたようなので、おそらく相当頭が悪いか、日本語が通じないんだろう。やはり、殺しておけば良かったか。

何度目かの拍手の後、ブロンフマンだけ登場して、下画像の通りソロでアンコールを弾き始める。ピアノのことなど何も分からないのにピアノ曲好きなボクとしては、「あらヤバイですわ、ブロンフマン好きになっちゃうかもぉ」な好演。音が無機質に聴こえないというのが何よりも良い。

後半はショスタコ5番。
マリス・ヤンソンスのお父上であるアルヴィド・ヤンソンスもレパートリーにしていた曲であり、かつマリスが現在バイエルン放送響とショスタコチクルスを進行中なので、既に十八番といえるかも。

編成がググッと増えて、イントロだけでも音の厚みの違い(主に弦楽器)に驚く。音の聴こえ方はチャイコンで書いたのと同じような感じだが、楽器が一斉に鳴った時の低域のごちゃ混ぜ具合がなんとも惜しい。これはきっと最前列だからなのだろうが。15列目くらいで聴いてみたいものだ。それと、ハープの綺麗なお姉さんが見えないよ(><)

それ以外は完璧。

熱く、そして大きな身振り手振りで指揮をするヤンソンスは昨年見たのと変わらないが、ロイヤルコンセルトヘボウ管が「楽団の伝統を尊重」したような音なのに対し、バイエルン放送響の方が「マリス・ヤンソンスそのもの」のような気がする。といっても、なにせあのバイエルン放送響だからドイツオケらしい剛直さはあるんだけど。ドイツオケだと「剛直」とイメージしてしまうのは何でだろうね。実際にそうだから間違ってはいないんだろうけど。

最終楽章では例のティンパニの部分は比較的遅めのテンポで、「ああ、最近はみんなこうなんだよな」と思ってたら、以降の加速がえらい速い。スラッシュメタルの領域だ。凄すぎてのけぞった。先述の1stヴァイオリンの鼻みず兄さん(勝手に命名してスマソ)も息が苦しいのか口を半開きにしつつ、猛烈パッセージ。その姿を見て、意味も無く大感動!!!凄いよ、鼻みず兄さん!!!(←だから失礼だってば)

無事フィナーレを迎えて、大きな拍手の嵐の中、楽団員は「弾ききったぞ!」というようなご満悦な表情。そりゃ、そーだよなー、凄かったもんなぁ。

何回目かの拍手の時、最前列の1stヴァイオリンのおじさんと目が合う。なにしろ最前列同士だから目が合うのも無理も無い。目線をそらすのもなんだからちょっとだけ愛想を振り撒いてしまうボク。ヴァイオリンのおじさん、微笑。恋の芽生える予感(ウソ)

アンコールでは聴きたかった「火の鳥」も少しやってくれて、更に満足。これがまた凄い迫力で、確か昨年もブラームスの「ハンガリー舞曲5番」で大きなシンバルの音を轟かせていたので、大きな音で終わらせるのが好きなのかも。
てゆーか、最後まで聴きたいぞ。

楽団員がステージを去ったあと、拍手に呼び戻されて再び舞台に表れるマリス・ヤンソンス。(ここでも写真を撮ってるバカがいたが、予想される事態なのでホール係員が今後見張りを付けるべきだ。一眼レフまで用意しているジジイもいたし。何しに来ているのであろうか)

周りにバカが多くて情けない気持ちになりながらも、演奏は最高、今年もマリス・ヤンソンスに会えた喜びを噛み締めて帰宅の途に着くのであった。

で、来年はまたロイヤルコンセルトヘボウ管と来るんだよなぁ!行きたいなぁ!


今年のベストアルバム!

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うおおおお!OEHMSなどという廉価盤レーベルからとてつもないCDが出たぞ!

・ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調 op.21 ・ベートーヴェン:交響曲第2番ニ長調 op.36  バーゼル室内管弦楽団  ジョヴァンニ・アントニーニ(指揮)

これ、凄いよ!ベートーヴェンのシンフォニーは聴き飽きてたのだが、古楽器による演奏という事と、OEHMSだから安い(1000円ちょっと)のと、SACDだからつい買ってしまったのだが、とんでもない掘り出し物!

「古楽器らしいキビキビした演奏」といえばそれまでだが、風通しの良さは古楽器らしくあり、しかしこれまでに無い大胆な推進力。インマゼールのモーツァルト「交響曲39-41番」を聴いた時の衝撃に似てる。

これは是非、全集にして欲しいなぁ!!!


PARSIFAL

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うーん、昨日観に行ったのだが、興奮覚めやらず。

11/13(日)に飯守泰次郎指揮東京シティフィルの公演でワーグナーの「パルジファル」を観に行ったワケで。

場所は日生劇場。普段はクラシックというより「演劇」を行う所らしいが。チケットに記述されている座席通り、最前列の右端だったので首と足が痛くなったさ。

それにしても、これは良かった。

飯守先生といえばワーグナー指揮者として国内では名声を得ているし、国外でも実績があるし、マイナスな点としては「東京シティフィルって聴いたことねーよ」というくらいだったのだが、でも、そんな不安を払拭させるくらいに良い演奏だったので、大満足。

そもそもこの日はサヴァリッシュが振る予定だったN響に行く予定だったのだが、諸事情により断念。(ほとぼりが冷めた頃に書きます。批判はあるだろうけどN響嫌いじゃないし)東京シティフィルに問い合わせたらA席がまだ残ってるっていうので急遽GET。

「パルジファル」は長いうえに音が抽象的すぎて、CDでは全く分からなかったのだけれども、舞台はやはり違うね。ストーリーを目の当たりにする事のいかに重要なことか。

オケが舞台の前にあり(オーケストラピットに沈んでいるのでは無い)、目の前に見えるのはコントラバスと第二ヴァイオリン奏者(←美人)。最前列だったので歌手があんまり見えないし、コントラバスがブワブワ鳴って音のバランスが悪かったのはその席を入手した自分のせいなので問わず。っていうか、そういう環境ながら思ったより良かった。

歌手では、クンドリ役の小山由美さんが死ぬほど上手かった。先日、二期会で観た「オランダ人」もゼンダ役の人が良かったし、女性のほうが声が通りやすいのかしら?カーテンコールではパルジファル役の竹田さんが涙を流してて可愛かったが、男性キャストではグルネマンツ役の木川田さんが良かったな。

「オランダ人」ではオペラということもあって演出が酷すぎて素直に楽しめなかった部分もあるが、今回の「パルジファル」は演奏会形式で演劇に関しては期待していなかったのがそこそこ内容があって、むしろ演奏の充実度が高くて本当に良かった。改めて「パルジファル」のCD聴くといいもんなぁ!

飯守先生は「情熱的な」とよく書かれるが(パンフにも書かれてるし)、むしろメリハリを付けたキビキビとしてて且つ柔軟な指揮でとても良かった。最前列で先生の真横にいるようなものなので、指揮振りがよく分かるのだが、テンションを損なわずに全編振りつづける様はそれだけで、ボク、感動したっす。今度、ワーグナーにかかわらず東京シティフィルの公演に行きたくなりました。

ちなみに、家に帰って聴いた「パルジファル」のCDはバレンボイム指揮ベルリンフィルと、ケーゲル指揮ライプツィッヒ放送響。もっと聴きたい。


翔んだオランダ人

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微妙に「翔んだカップル」みたいでDokiDoki♪

・・・とかいう事は全く無くて、ワーグナーのオペラ「さまよえるオランダ人」を東京文化会館に観に行ったワケで。

先日は「ニュルンベルグのマイスタージンガー」、今日は「さまよえるオランダ人」、来週は「パルジファル」とにわかにワーグナーづいているが(来年はメトロポリタンの「ワルキューレ」だしぃ)、「マイスタージンガー」と「オランダ人」はワケの分からんワーグナーオペラの中でも音楽がポップで分かりやすいので、これならボクもOKさ!(←トライデントシュガーレスガムのノリで)

しかも今回は二期会(国内屈指のオペラ公演団体)に、指揮がエド・デ・ワールト、オケが読売日響という万全の布陣。期待が持てるざまぁす。

東京文化会館(上野)は我が家からは新国立劇場(初台)よりもずっと近いので良いが、席が4階の端の方だったので、とっつぁん、これちょっと遠いよ。と言いつつ、NHKホールの3階最後列よりはマシな感じ。上から見下ろす感じは新国立劇場と同等。5階だったらどうなっちゃうんだろう?

ワールト登場。さっそく序曲が鳴り響く。やはり音像の遠さは否めないが、そこは4階だからと我慢。演奏はしっかりしているし、大幅に不足しているという程でもない。

長い序曲が終わって第一幕に突入。暗い物語だが、舞台も実に暗い。

内容を三幕分書くと非常に長くなるので省くけど。

演出が実に悪い。渡辺和子というドイツではご活躍の方が演出家らしいが、「変わった事をやれば芸術」とでも言いたげな、理解しがたい演出。床を斜めにすれば現代的ってワケでもないぞ。

視覚的な状況説明が圧倒的に欠如しており、あらすじを予習しておかなければかなり辛い出来。歌では散々出てくるのに、「黒いマストと赤い帆」が全然出てこないから、「さて、さまよえるオランダ人はどこにさまよっているのやら」状態。

「東京文化会館は古い建物なので施設的に厳しい」という話も聞いたことがあるが、船沈まないし、海がどこだか分からないし、ゼンダが海に飛び込んだかどうか分からないし、最悪なのは、「ゼンダが海に飛び込んだ(と思われる)」ところで、終わってしまうのである。

・・・えーっと、永遠の貞節を誓ったのに、オランダ人はさまよい続け、ゼンダは投身自殺?

「なんじゃこりゃ?」と思ってあんぐりしてたら、舞台が終わっていたOTL

ワールトと読売日響はかなり良かったのでまたやって欲しい。特に、読売日響は好きでない方の楽団だったのに、安定感に関しては抜群。ワールトとの相性もいいみたい。

二期会も「日本人だとこんなもんだろ」と感じてしまう部分もあったが(オランダ人とエリック。舵手は良かった)、ゼンダはかなり健闘。「これなら聴く価値あるなー」と。


しかし、それだけに演出がこうも酷いと、同じ人がまた演出で来たら行かないね。ヘンにやるよりはフツーでいいのにな。



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