クラシック: 2005年10月アーカイブ

老いてなお現役。チッコリーニ。

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不勉強なものでよく知らないピアニストだったのだが、どうも気になるCDがあって、ついつい買ってしまった。ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集だったのだが、これがチッコリーニだった。

今にして思えば、これがもう亡くなった巨匠のCDだったらスルーだったかもしれないのに、よくもまぁ、手に入れたものだ。そんなワケで、名前だけは知っていたので、来日する事を知ってチケットを取ってみたのである。

そのベートーヴェンのピアノ協奏曲全集は、正直、ピリオド演奏に慣れきっている耳には新鮮味ゼロで響いてきた。かといって、モダン楽器の演奏としても、「ああ、巨匠風だな」と思うくらい。聴いててホッとはするが、ベストかというとそうでもない感じ。

しかし、色々と調べていくと、どうやら期待は持てそうな感じ。(そういうのが分かる前にチケットを勢いで取ってしまうというのも何だが)

そんな感じで、無理矢理上野で用事を作って東京文化会館に向かう。用事を上野にしてしまって、スミマセン>某氏

東京文化会館といっても小ホールの方。大ホールでピアノリサイタルなんかやったら、音聴こえないこと確実。小ホールはどこに座っても良さそうな感じのホールなのでいいかも。

ボクの座席は中央よりやや右より。運指は見えないのでアレだが、よく考えたら全くピアノの心得がないので関係ないっちゅーか。(逆に、周りの人はピアノ関係者なのだろうか???)

プログラムは以下。

・ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第31番変イ長調作品110
・ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第23番へ短調「熱情」作品57
(休憩)
・ラヴェル/高雅で感傷的なワルツ
・ファリャ/4つのスペイン小曲集(1902~08)
・ファリャ/アンダルシア幻想曲(1919)

この中で予習していったのはベートーヴェンだけ。

ピアノの前に現れたチッコリーニ。80という高齢だけにやや背中も丸めて、「おじいちゃん」という感じ。こういう人がベートーヴェンの曲を弾くというのもなんだかなぁ。

31番という後期の曲においては特に技術面が気になる所だが、これは凄いぞ。「技術なんか関係あるか!」とでも言いたげな遅いテンポ。そして重い音色。これを淡々と引き続けるのだ。最初の印象は「老人だから指が回らないのね、巨匠を見られただけでもいいや」という感じ。

だったのだが!

何が凄いって、このような演奏においてもただ老いぼれているのではなく、「老人の言うことは聞くものだぞ」と言っているような圧倒的な説得力。演奏については特に凄いとも思わなかったのに、しかし、この遅さゆえか、重厚感をたっぷり味あわせてくれるのである。はっきり言って、「ピアニッシモの輝きとかって要らなくない?」みたいな、デリケートさには欠けるのに、しかし、チッコリーニの存在感は十分というか。

このスタイルは「熱情」においても変わらない。(余談だが、「情熱」じゃなくて「熱情」と付けた人のセンスは凄いと思う)

しかし、「老人だからなぁ」と思っていた運指のはかどらなさは「熱情」の終盤になって覆される。「指が暖まって動くようになったんだなぁ」と思う。この時までは・・・

本当に凄いのはここからだった!

後半一曲目は急遽プログラムに加えられたラヴェルの曲。聴いたことはあるハズなのだが、ピアノ版は初体験なので、「あれ、こんな曲だったっけ?」という印象。

ベートーヴェンでは重く、遅く、デリケートでない音使いだったのが、途端に鮮やかな音色に変わっていく。

その後のファリャなんか曲すら知らないのに、音色の多彩さや運指に至るまで、前プロのベートーヴェンとは全く別人ではないかと思えるほどの生き生きした演奏。これ、80のじーさんの演奏じゃないよ!

アンコールもまた凄かった。出てくる度に演奏するので、拍手するのが申し訳ないほど。

・ショパン:夜想曲op.9-2
・ドビュッシー:プレリュード第一巻より「ミンストレル」
・ファリャ:火祭りの踊り

基本的には後プロと同じノリだが、いや、もう、フランス国籍の人だけに、エスプリを感じさせる音楽(ラテン楽派っていうの?)はノリが全然違うのだ。指が踊りを踊っているよう。

そうなってくると、「老人だから」と思っていたベートーヴェンも、これは「チッコリーニのベートーヴェン」という解釈になってくる。正直、「これはこういうものなんだ」と納得させながら聴いていた部分もあったが、今になって思えば、これはまさしくチッコリーニの音楽を聴いていたに過ぎない。

これで80だもんなぁ。来年も来たら、年よりの話を聞きに、また行っちゃうかも。


更に懲りずに連日のコンサート

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10月は見事にコンサートづいているが、もうその勢いが止まらなくって。これでは某店のMちゃんに「ソープに来てる場合じゃないね♪」と言われるわけだ。確かに、金銭的にはキツい。

というワケで、10時頃に起床して本日のコンサートを物色。(←行くのかよ)

まずは東京文化会館で行われるヘンデル歌劇「アグリッピーナ」に目をつけるも、前売り完売、公演終了時間が8時過ぎということで、その時間はボクはソープにいる。(なんで?)

次に東京フィルハーモニーの公演を見てみるが、これも前売り売り切れ。岩城先生が振るのは見てみたいが、内容はそうでもない感じ。

で、かなり迷ったのが東京ユニバーサルフィルの公演。このオケはHPでは知っていたが、一般的にはそんなに知られていないはず。それでも活動はキチンとしているようで、そういうオケを聴いて「いや、実はかなりいいんだよ」なんて言ってみたかったりしたが、とりあえず保留。先日のウィーンフィルではシューベルトの「未完成」を聴く機会がなかったが、それをやってくれるのもいいかも。

と思いつつ、浜離宮朝日ホールに電話してみると、ヴァレリー・アファナシエフのピアノリサイタルのチケットが出るとのこと。受付のお姉さんに「じゃあ、頑張って行きます!」と言ってしまったので、あっさり東京ユニバーサルフィル切り捨て。ごめんなさい、次は行きます。

東銀座からてくてく歩いてホールに到着。場所が朝日新聞社の裏にあるので、場所は分かってるのにどうやって入るのか迷う。かなりの挙動不審振り。でも、職質したら殺す。

無事にホールに辿り着いたら、今度は当日券売り場が不明。こういう案内はちゃんとしておいた方がいいぞ。入れたからいいようなものの、オタオタしている間に当日券が売り切れたら、殺す。(←2度目の殺人)

とか言いながら、かなりいい席がGET出来たので満足。ピアノをこんなに近くで見たのは初めてかもしれない。

アファナシエフは写真と同じで、ぶっきらぼう。だけど、裏表の無い、いかにも芸術家な風貌。軽く挨拶してすぐに弾き始める。

最初はシューベルトの「3つの小品」。

実は、シューベルトのピアノ曲など知らないで行ったのだが、もう、シューベルトの甘さ全快で泣けてくるったらありゃしない。

シューベルトは同じフレーズを何度も使って高揚させるような所があって、交響曲においては「超一流」とはいえないような部分も感じているのだが(しかし、天才メロディメーカーなので聴いてしまうのだな、これが)、ピアノ曲でもメロディの良さはさながらに、管弦楽法に拘らない分、音楽の良さがストレートに伝わってくる。ある意味、ピアノ曲というのは怖い分野だ。

アファナシエフといえばたっぷりとした巨匠風の遅いテンポで「キワモノ」的な見方もされているが、今回は意外にいいテンポ。「遅すぎるよ!」と言いたくなるような場面は皆無。

音色もストレート。よく「音が七色に変化する」などと形容されるピアニストもいるが、アファナシエフに関して言えば、音色ではなく、テンポ感によって感情を十二分に表現しているのではないかと。今日も右手でピアノを弾きながら、左手は感情の高まりを空上で発散させていた。これが人によっては遅く感じてしまっているだけで、テンポ感が合う人にとってはキワモノとは違うんだなーという事を改めて認識。

休息を挟んで、2曲目は同じくシューベルトの「ピアノ・ソナタ 第20番 イ長調」。これも全く知らないで行ったんである。本当に済まない。

だというのに、これも弾き進むうちに完全にシューベルトの音に飲み込まれる。ピアノ一台だけなのにすげーよ。

シューベルトがいかにロマンティストであったか、そして、アファナシエフがいかにロマンティックな音を奏でていたか、これはシューベルトのピアノ曲に対する認識を改め、反省しなくてはならないのである。

アンコールでは、あんなにぶっきらぼうな風貌なのに(席から立ち上がって退出する時なんか、背広のボタンをはめながら軽く会釈して去っていく)、ショパンの作品を3曲も演奏していくサービス振り。シューベルトの後にショパンかぁ!これは贅沢だ!

そんな感動に包まれて、これはシューベルトを再度勉強しなくてはならないと思ってタワレコを覗いてみるが、実際に購入したのはバッハ・コレギウム・ジャパンの「メサイア」。いや、その、セールだったからorz


・・・という話を某店のMちゃんにもお話しつつ、いやー、Eちゃんが大本命だけど、Mちゃん可愛いなぁ♪(←だから行ったんかい!)



ジャーマニーの鎮魂歌

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懲りずに今日もクラシックのお話。

っていうか、とても大好きな某店のEちゃんに会いに行くつもりだったのだが、本日お休みになってしまいプチハートブレイク。まぁ、そういう子だと知ってて追いかけているので仕方無いのだけれど。でも、切なさいっぱい。

で、前記の事項が終わった後に当日券で行く予定だった新国立劇場のオペラで、ロッシーニ「セヴィリアの理髪師」のチケットが「S席しかない」という事でこちらもキャンセル(S席たけーよ)。うーむ、だいぶ前に「椿姫」を観に行った時は楽勝だったのに。

残念な事ばかりではなく、来年の4月に行われるバッハ・コレギウム・ジャパンの「マタイ受難曲」はプレオーダーで押さえ、6月に行われるメトロポリタン・オペラの「ワルキューレ」と「ドン・ジョヴァンニ」は入手済み。「ドン・ジョヴァンニ」なんかネトレプコだもんなぁ!興奮せずに冷静に観られるか今から心配!

とは言いつつ、本日の虚心をどう埋めてくれるかで人生の悲哀を感じつつ、実は今日はコンサートの当たり日。ざっと見ただけでもこんなに行きたいのが。

・ジャン=ギアン・ケラス(チェロ) & 野平一郎(ピアノ)<オール・ベートーヴェン・プログラム/チェロ・ソナタ全曲>

・NHK音楽祭スペシャル サカリ・オラモ(指揮) フィンランド放送交響楽団

・サロン・コンサートシリーズ#87 寺神戸亮 ヴァイオリン・リサイタル

・東響 第529回サントリー定期

・新日本フィル 第391回定期 トリフォニー・シリーズ 第2夜


迷うなぁ!

ジャン=ギアン・ケラスの公演はベートーヴェンのチェロソナタ1番と5番だけなので却下。オラモはシベリウスの「フィンランディア」とチャイコフスキーの「悲愴」をやってくれるので期待大だが、小菅優はこの前聴いてがっかりだったので保留。東京シンフォニーはミッコ・フランクがストラヴィンスキーの「火の鳥」を振るので名演間違いなしの勢い。

で、結局、新日本フィルのミヒャエル・ボーダー指揮ブラームス「ドイツ・レクイエム」に行ってしまったという。

というのも、公演時間がとっとと出かけるにはちょうど良かった15時開演だった…というのは言い訳で、本当は新日本フィルが好きなのさorz

事前に新日本フィルに電話して「B席が出る」というのを確認。とっととトリフォニーホールへ向かう。3階中央のB席を難なく確保。

開演までに時間があるので錦糸町駅近くのロッテリアで半額になったエビバーガーを御賞味されるボク。ま、これは可も無く不可も無くだな。

時間になったので再びトリフォニーホールへ。

3階は初めてだが、案外ステージとは近い印象。東京芸術劇場なんかにしてもそうだが、下から見上げると遠く見えるけど、実際に3階にいるとそんなでもないんだな。

1階の前列左右が寂しい入りで思わず席を移動したくなるが、どこぞのニャン掲示板の平気で席を移動する住人とは違うのでグッと我慢の小一時間。こう見えても、マナー精神には溢れているのだ。

ミヒャエル・ボーダー登場。思ったより若々しい。

第一楽章の冒頭。新日本フィルはたいていそうなのだが、立ち上がりは極めて軽め。宗教曲だというのに重みが全く無い。音が単に重いだけ。いつもそうなので、これはボーダーがそうというわけでは無いだろう。それにしても、最初は第一とも第二ともヴァイオリンを弾かないのだな。これは面白い。(スコアは見ないし、見ても分からないので編成やらなにやら分からないのだ)

中盤に差し掛かると音にある種のノリを感じるようになる。「レクイエム」なのにノリがあるというのも死者を呼び出しそうでなんだが。ボーダーはオペラを得意にしているようなので、音の盛り上げ方がそうさせてるのかもしれない。「ドイツ・レクイエム」はジュリーニ/ウィーンフィル盤しか聴いた事が無いのだが、ジュリーニが終始重みで音をなぞらえていくのに対し(しかし遅いのに必要以上に重くならないのがジュリーニの凄さだ)、ボーダーは盛り上がるところではきちっと盛り上がる。これは本当にオペラ向きだ。


今回何より凄かったのがバリトンの石野繁生さん。

これは凄かった!声に色艶、響き、重み、説得力と全てを聴かせてくれた。こんなに色艶のあるバリトン初めて。正直、これを聴いただけでも大満足。

それだけにソプラノのカテリーナ・ミューラーには線の細さを感じてしまい、健闘はしていたと思うけど、今一歩の印象。

新日本フィルは、前回アルミンクの指揮でチャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」を聴いて音の頼りなさを払拭されたばかりだが、ボーダーの指揮を聴いて音の細さのみならず音の有機的な響き(←宇野先生みたいだな)も感じることが出来て、いや、やっぱり、ボクは新日本フィル好きです。

それにしても合唱曲はいいなぁ。昔は合唱なんて歌うだけだからなんてことねーよと思ったものだが、特に宗教曲では歌唱の重要さがこれほどまでとはと感じるほどに圧倒された。CDで聴く限りでは「ドイツ・レクイエム」は「ドイツ語で書かれた重々しい宗教曲」としか思えなかったのだが、一気に共感度が200%増した。

そんなワケで、家に帰ってジュリーニの「ドイツ・レクイエム」を再度聴きなおす。しかも、二順目!

はまりやすいなぁ、ボクは・・・

趣味ネタばかり書いてると「そんなに忙しくねーじゃん」とか思われがちだが、本日は制作部が誰一人出勤していない中、いつもよりグッと早く出勤した挙句に、制作部が誰一人出勤していない中、99%の更新を終わらせて取材に出かけたワケで。

そんな苦労の果てに、本日はサカリ・オラモ指揮フィンランド放送交響楽団の公演に行ってきました。

こう見えてもサラリーマンなので就業時間というものがあるのだが、我が社は19時終業だというのに、この公演は19時開演。まぁ、冒頭の事もあるので全く気にしないけど。(そこで提案だが、完全フレックスにしてしまうというのはどうだろう?・・・って、誰に提案してるのだ?)


そこは大人の事情で、仕事を無理矢理作った挙句にNo Returnという感じで。


サントリーホールといえば、先日、ウィーンフィルの公演で物凄い演奏を聴いてしまった後なので、予め期待度控えめっちゅーか。しかし、そもそもこっちのチケットを入手してからウィーンフィルの方を取ったので、ウィーンフィルが日にちをずらしてくれれば良かったのになという。(←誰の為に?)

で、なんでこの公演を聴きたかったかというと、オラモ指揮バーミンガム市響のシベリウス交響曲全集が無茶苦茶良かったからなのである。なので、本公演もシベリウスでやってくれると非常に嬉しかったのだが、現実はそう甘くなく、下記の通り。

武満徹 ウォータードリーミング
ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番
ベートーヴェン 交響曲第3番 「英雄」

武満などどうでもいいのだが、音に透明度のあるフィンランド放送響だけに、曲とは合っていた。やたら現代曲的な響きを持ちながらもフルートが尺八のように聴こえたのがなんだかなぁ。外人からは武満の評価がやたら高くてビックリするが(小澤征爾の戦略か?)、ボクには「無理矢理現代音楽」という感じで、印象のいいものではない。まぁ、今回のオケには合っていると思うけど。

2曲目のピアノ協奏曲ではソリストとして小菅優が登場。この人のショパンはなかなか良かったので期待も少々高まろうというもの。

ところが、これはあまり良くなかった。

小菅優が悪いというよりも、ベートーヴェン弾いてもオケの音がやたら透明感があって、軟弱な印象。それに連られたか、小菅優のピアノもベートーヴェンからは離れた、眠くなるタッチ。確かに4番はジェントルな響きもあるが、その裏にあるベートーヴェンを見せなきゃなぁ。

休憩を挟んで「エロイカ」。
オラモ氏、メガネを外して登場。やる気満々。それに応えてか、オケもさっきとは全く違って、音に響きとめりはりが出てくる。

とはいっても、そこはシベリウスの国のオケなので、やはり透明度全快。ダブルベースが6人もいるのに、音の厚みもあるというのに、それでもどこか一つ抜けたようなスカッとしたベートーヴェン。ちっともベートーヴェンらしくないのだが、ある意味、珍しい音楽を聴かせてもらったかも。

第一楽章と第二楽章の間に地震発生。第二楽章に入るのが少し遅れたけど、そこは慌てず騒がず。でも、演奏中だったらどうなっちゃうんだろうな。

ウィーンフィルの後だけに薄味さ充満だったが、演奏そのものは良かったし、これでシベリウスの交響詩を聴かせてくれたらどんなに良かったことであろうと無念の気持ちでいっぱい。


それなのに、それなのに、アンコールではナゼかシューベルトの「ロザムンデ」。しかも、これが一番良かったというorz


終わりよければ全て良しみたいな納得の仕方でアレだが、さらにその後にサイン会があり、小菅優とオラモさんのサインを貰って満足げな俺って・・・orz

さらに、オラモさんの写ってるパンフにサインを貰ったのだが、「ボク、この写真好きです。シベリウスの交響曲全集の」と、音楽と全く関係の無い事言っちゃった挙句に、オラモさんから「あー、これはそうだ、私だ」と写真さながらの指揮ポーズを取ってもらったので、なんだかんだで結構ご満悦なボクなのでした...

\27,000という大枚叩いて行って来ました、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団。昨日だったので、10/15の公演。

"ウィーンフィルハーモニー管弦楽団”(以下VPO)といえばベルリンフィルと並んで世界最高峰のオーケストラとして名高いワケだが、ベルリンフィルがドイツらしい堅実な音作りなのに対して、VPOはより柔軟で繊細な音が特徴といえる。時々無茶な演奏をするので(ケルテス指揮のドヴォルザーク「新世界」とか、ゲルギエフ指揮チャイコフスキー交響曲第5番等)どっちかっていうとVPOの方が好きなワケで。

これがどこぞの日本オケだったらチケット取りも苦労しないのだが、VPOともなると争奪戦。苦労に苦労を重ねて、ようやく昨日の公演を取れました。演目は以下の通り。なんと、今回の「ウィーンフィルウィーク in ジャパン」で唯一のプログラム。

シューベルト 交響曲第4番「悲劇的」
ヒンデミット 「至高の幻想」
リヒャルト・シュトラウス 「死と変容」

アンコール
ヴェルディ 「運命の力」序曲

シューベルトが最後かと思ったら最初に演奏したのでちょっと驚き。
小型の編成で小気味良い演奏。昨年、ヤンソンス/ロイヤルコンセルトヘボウ管で演奏したベートーヴェン交響曲第2番を思い出したが、あれよりは厚い響き。何しろ初VPOなので音が出た瞬間に感動で身動き出来なくなってしまう。

いつもだったら新日本フィル聴いて「ウィーンフィルのような繊細な音使い」とか表現する所だが、なんてったって本物のウィーンフィルだもんなぁ!

指揮のムーティはVPOとは共演を重ねている巨匠なのでノー文句なのだが、ここ最近のピリオド奏法とは一線を画した伝統的な巨匠なので好みとはちょっと違うかも。

とか言いつつ、現実に演奏されている音の前に理性のなんと無力な事か。

ムーティの指揮は力任せに音作りをして行くのではなく(過去は力任せだったらしい)、むしろ左手で表情付けをしているだけで殆どタクトを握った手の出番は無く、VPOの自主性を存分に引き出すような、そんな指揮振り。でも、指揮台に立ったムーティはかっこいい!

休息を挟んでヒンデミット。
ヒンデミットは正直、分からない。そんなに難しいとも思えないのに、どんな音楽だったか思い出せないという現代音楽らしい音の響き(現代音楽としてはちょっと古いか)。分からないだけにいかに音が鳴っているのかを確認できるいいチャンス。

編成が大きくなったせいもあるだろうが、音に響きだけでなく奥行きが出来て、音の渦に飲み込まれているような感じ。

続いて、リヒャルト・シュトラウス。今回の目玉!
リヒャルト・シュトラウスといえばかつてVPOを振ったこともあり、かつ大音量で管弦楽を鳴らすには随一の音楽なので期待大。本当は「英雄の生涯」が聴きたかったのだが、今回はこれ目当てでチケットを取ったので、期待しない方が無理といえる。

静かな立ち上がりから徐々に音の密度を濃くしていく。前プロのシューベルトでは指揮をVPOの自主性に委ねていたムーティも、ここでは大きなアクションで音作りを演出。見るからに熱い指揮で、こちらまで熱くなってしまう。(そういう曲だし)

最後も静かに余韻を浸るように終わる。ゆっくりタクトを下ろすムーティ。

・・・のはずなのに!

余韻に浸る間もなく、ムーティが指揮棒を下ろした瞬間に拍手を始めるバカ出現。

連られて数人も拍手するも、場違いだというムードに包まれて拍手フェードアウト。気まずい空気。

ムーティが後ろ向きのままで拍手の合図を送って場内満場一致の大きな拍手に包まれたが、最初に拍手したバカのせいでせっかくの名演が台無し。こいつは一生を掛けて自分の冒した罪を償うべきだ。

いや、しかし、それにしても音の粒立ちといい、密度といい、キュッヒルの赤ら顔といい、名演中の名演。CDで聴くと大げさな部分も目立つリヒャルト・シュトラウスだけど、実演はすげーよ、マサルさん!

続いて、アンコールでヴェルディの「運命の力」。
双眼鏡で楽譜を覗いたので、アンコール前に曲は分かっていたワケだが。
これも「死と変容」の盛り上がりを受け継ぐような熱演で当然、名演!

ところが、この前にもトラブルがあって(涙)

アンコールに行く直前、「ピピピピ・・・」と突然の電子音。誰かがケータイだが時計だかのアラーム音を鳴らしたらしくて。

こいつも死んだ方が世の為だからポアしてやろうかと思ったのだが、それにしてもこんな気をつけていれば起こらないような事を起こすなんて、日本人のなんたるマナー意識の低い事か。これに懲りてムーティや、オーケストラの皆さんが来てくれなくなったらどう責任取ってくれるというのだ。本当に嫌になった。

勿論、そんな事も吹き飛ばすような名演だったので良かったのだけれど。こういう事が無かったらあと数倍は心地よい演奏会であっただろう。(というか、オペラの序曲でこれだけ熱いのだから、この調子で本編全部やったら死ぬんじゃないか)

それにしても、帰宅してからN響の演奏をテレビでチラッと聴いたのだが、演奏精度の高いN響とはいえ、VPOと比べたらまるで小手先でしか弾いていないような軟弱さ。上手く弾けても、思いっきりの良さが無いと、楽器の音を伝えきれないのだろう。VPOなんか、平然と弾いているようであの密度感だもんなぁ。これじゃあ、日本のオケが束になっても敵わないワケだ。

残念な事はあったけど、初のVPOは堪能できて本当に良かった。もう、シューベルトなんか最近遠ざかってたのに、また聴きまくり。

本当はシューベルトだったら5番聴きたかったけどね。

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タイミングを逸する

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3連休も終わって明日からまた仕事なので今日は早めに寝るかと思っていたのに、よりによってこんなCDを聴いてしまう。

ワーグナー:舞台神聖祝祭劇『パルシファル』全曲 第1幕:95分 第2幕:60分 第3幕:66分

ライプツィヒ放送合唱団、ベルリン放送合唱団
ライプツィヒ放送交響楽団
ヘルベルト・ケーゲル(指揮)


聴き終わったら聴き終わったで、すっかりワーグナーの毒に嵌って、現在、下記CDの2枚目後半。

ワーグナー:歌劇『ローエングリン』全曲 第1幕:61分 第2幕:75分 第3幕:58分

バイロイト音楽祭管弦楽団・合唱団
ヴォルフガング・サヴァリッシュ(指揮)


長い、長すぎる・・・

皆さんも寝しなのワーグナーに注意しましょうorz

週末コンサート紀行

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9/30(金)と10/2(日)にコンサートを聴きに行く。夏はあんなに酷い夏枯れ状況だったのに、一日置いただけでこんなに行きたいコンサートがあるなんて芸術の秋は大変だ。

9/30(金)
エスペリオンXXI(ヴァン・テ・アン)
・ジョルディ・サヴァール(ヴィオラ・ダ・ガンバ、ヴィオール)
・モンセラート・フィゲーラス(ソプラノ)
・アリアンナ・サヴァール(ヴォーカル、トリプル・ハープ)
・フェラン・サヴァール(ヴォーカル、テオルボ)
・ペドロ・エステバン(パーカッション)

ファミリー・ネームを見れば分かる通り、ファミリー・バンドなんである。モンセラート・フィゲーラスはジョルディ・サヴァールの奥方なので、他人はエステバンさんだけなんである。

このバンドは古楽器演奏家が集まったバンドなんだが、古楽器というと「モンテヴェルディ、バッハからベートーヴェンまで」という印象があるのだが、なんと!サヴァールさんは11世紀まで遡っちゃうんである。ルネッサンス期というか、下のプログラムを見れば分かる通り、日本風に言えば「詠み人知らず」な曲までやっちゃうから凄い。たまたま購入したCDで「こんな音楽もあるのか!」と衝撃を受けていた所に来日する事を知ったので、慌ててチケットを入手した次第である。取れて良かった。

場所は銀座の王子ホール。収容人数は少なめ。当然、完売。なにしろ5人しかいないので大きなホールではどうかと。古楽器室内楽だし。

プログラムは以下。

古きエスペリアとオリエントの伝統音楽
・マルティン・コダス(12世紀):「7つの恋の歌」より「愛することをどこまでわかっているか」
・アフガニスタンの伝統音楽:ナスタラン(器楽演奏)
・ロードス島の伝統音楽(セファルディの歌):美しい乙女よ眠れ
・モロッコの伝統音楽:ガザリ・タル・ジャリ(器楽演奏)
・ギリシャの伝統音楽:アポセノ・ネロス

フォリアとロマネスカ
・ディエゴ・オルティス:ロマネスカとパッサメッツォ・モデルノ(マリアの歌)
・アリアンナ・サヴァール:ラ・サルヴェ(聖母マリア賛美の和唱)

詩と音楽
・ブルターニュの伝統音楽:グウェルス(哀歌 器楽合奏)
・カタルーニャの伝統音楽:盗賊の歌
・即興演奏:カナリオス(器楽合奏)
・カタルーニャの伝統音楽:鳥の歌
・タルクィーニオ・メルーラ:君に捧げる歌

人の声
・アリアンナ・サヴァール:愛(Miquel Marti i Pol作詞)
・マラン・マレ:人の声
・イスラエル民謡:ヘブライの子守歌

オスティナートを伴う即興演奏(歌曲と舞曲)
・ルカス・デ・リバヤス:タランテラ(ハープとパーカッションによる即興演奏)
・フェラン・サヴァール:即興演奏(歌とテオルボ)
・アントニオ・マルティン・イ・コル:スペインのフォリア
・タルクィーニオ・メルーラ:チャコーナのアリア 「恋のリラにのせて」

このうち曲目変更になっているモノや、アンコールがあるのでどの曲がどーだとか言うのはナンセンスなんである。正直、どの曲も知らないので全然構いませんっちゅー話なんで。

で、ジョルディ・サヴァールが凄いのなんのって!

こんな音楽、聴いたことが無い!

CDで聴いた時も衝撃を受けたが、ヴィオラ・ダ・ガンバとヴィオールを弾くサヴァールには凄すぎて言葉が出ない。(ちなみに奏法も凄い)廃れたはずの楽器があんなに雄弁に音を奏でるとは。

音楽の精神性やら管弦楽法やらも大切だが(むしろそういう面をクローズアップするのも好きだけど)、いわゆる「古楽器」という音の音色を存分に堪能させてくれて、それだけで納得させられたのは初めて。最近は古楽器の演奏もこなれてきて、「古楽器でもこんなに違和感無く聴かせられるんだね」というのが主流になってきていた感じだったので。

こりゃー凄い、凄かったなぁという思いを胸にホールを出ようとしたら、なんと!メンバーのサイン会を開催するというので一もニもなくCDを購入して列に並ぶ。アリアンナ・サヴァール(娘)のサインなんか「with love」って書いてもらったもんね。フェラン・サヴァール(息子)はノリノリで握手してもらったもんね。憧れのサヴァール氏の時は緊張したけど、「またすぐに日本に戻って来てください!」と一応、言っておいた。サヴァール氏はニヤニヤしてただけだったけど。

こんなに素晴らしいコンサートだったので「今シーズン最高!」とか思いながらも、「果たして明後日のコンサートは楽しめるだろうか?」と心配にちょっと駆られる。


10/2(日)
メータ指揮バイエルン国立歌劇場管のオペラを見に行く。場所はNHKホール。一番高い席で\60,000のところ、\10,000のエコノミー券で取ったので、よりによって音響に難のあるNHKホールの3階最後列。演目はワーグナーの「ニュルベルングのマイスタージンガー」。「あれ?『タンホイザー』のつもりだったのになんで『マイスタージンガー』?」という感じで取れちゃったいわくつきの券なんである。(ちなみに前日の「タンホイザー」は小泉首相も見に行ったらしい)

「マイスタージンガー」はワケの分からんワーグナーのオペラの中でも聴きやすく、CDだけでも楽しめる。そういう意味では、音楽的に楽しめないという心配は無いワケなので良かったかも。

メータが指揮台に上って前奏曲を奏でる。前奏曲はテンポが良いのもあってか、あのNHKホールの3階なのにそこそこ良い。音の分離感がイマイチだったり、音圧不足だったりはするが、音の柔らかさであるとかまとまりであるとかは、意外にも良く伝わってくるものだ。さすがバイエルン国立歌劇場管。さすがメータ。

歌手もさすがに上手い。ヴァルター役のペーター・ザイフェルトが若々しさ十分ながらも今一歩迫力に乏しい感じはあったが(「マイスター」っぽくない)、演出も簡素ながら過不足なく(かなり現代チック!)、飽きの来ない舞台づくりであった。

13時開演で18時半終幕なので第三幕ともなると疲れも見える所だが(間に35分の休憩が2回入るが、5時間半だもんなぁ)、昨日「タンホイザー」をやったばかりだというのにメータも絶好調。バイエルン国立歌劇場管との相性がいいのか、終始安定した音を聴かせる。メータはいろいろ言われるけど、オペラは凄くいいのかもなぁ。

主題が表れるたびに興奮度も増し、あらすじは知ってるのにフィナーレでは改めて感動。「マイスタージンガー」のようなCDだけでも楽しめる作品でも、やはり実演の充実度は全然違う。これからはオペラは機会があったら貪欲に通うことにしよう。(高いけど)

↓貴重なエスペリオンXXIのサイン入りプログラムと、「マイスタージンガー」のキャスト表


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