NHK交響楽団第1637回定期公演 Aプログラム
1月10日 | 土 | 開演 18:00 PM NHKホール
ショスタコーヴィチ / ヴァイオリン協奏曲 第1番 イ短調 作品77
シューベルト / 交響曲 第8番 ハ長調 D.944「ザ・グレート」
指揮|デーヴィッド・ジンマン
ヴァイオリン|リサ・バティアシュヴィリ
今年初のコンサートがN響、しかもN響ってば2008年の始めにもブロムシュテットと「グレート」やってるのに・・・ここのプログラミングは誰がやってるんだか能無しですね。
で、行く自分も能無しという事は重々承知しつつ、デーヴィッド(笑)・ジンマンを見ておきたかったので足を運んだワケです。
まずは恒例開演前の「室内楽コンサート」からですが、新年という事でシュトラウスなどの「ミニミニ・ニューイヤー・コンサート」といった趣き。N響の室内楽は意外といつも良くて楽しいのだが、ストバイの音はかすれてるし、最初の10秒くらいが楽しいだけであとはダラダラやっているように聴こえるし、全く感心できなかった。というよりは、これからのコンサートが不安になった。
さて、本公演では「グレート」の方が気になって前プロは眼中になかったが、タコのヴァイオリン協奏曲とはなかなか。しかもソリストが女性という事で、大野/都響との庄司紗矢香の演奏が思い出される。正直、あの演奏は勢いばかり勝って、気負いすぎで疲れた。絶賛している人もいるようだけど、「庄司紗矢香にしては」というレベルだと思う。
ジンマンとリサ・バティアシュヴィリが登場。庄司紗矢香と同じで真っ平ら。(何が?)
「胸元の開いたドレスなんか着なくてもいいのになぁ」と思いつつも、それは演奏と関係ないのでスルー。
で、このリサさん、庄司紗矢香とは逆に気負わずに弾き進んでいく。ショスタコの曲だから刺々しいというか、皮肉とか反体制とかロシア的とか諸々・・・な要素を入れようと思えば入れられるのだろうが、むしろ音楽的な完成度において非常に充実している。
逆に部分的には感情移入度において庄司紗矢香より喰い足りない面も出てくるのだが、終楽章なんか軽々とステップを踏むような軽快な演奏で、しかもそれが曲にマッチしていたのでとても驚いた。これは素晴らしい。
演奏が終わると同時にジンマンが両手を広げて客席の方を向いて「どうだ!」アピール。ノリントンを思い出した・・・恥ずかしいからやめてくれ。。。
後半は「グレート」。
ジンマンというと、べーレンライター版が出る前に「初のベーレンライター版使用」と謳って、実は準拠していないベートーヴェンの交響曲全集を出したことで有名な詐欺師(笑)なワケだが、モダンオケにおける古楽器的アプローチという面では第一人者といえるだろう。なので、オケも対向配置かと思ったら標準的なモダンオケの配置。
前プロよりもグッと編成を減らして、「こんなに小編成でNHKホールでいいの?」とも思ったが、数が減ったのに前プロよりも音がダイナミックになっててビックリ。まぁ、前半はコンチェルトだけどさ。
冒頭のホルンは若干ヨレッとしたけど、でもなんとか持ち堪えてまぁまぁの発進。もっとスパッと音を切って爽快に演奏していくものだと思ったら、比較的「聴き覚えのある常識的なテンポ」で進んでいく。ヴィブラートもバッチリかかってるし。ジンマンがN響に譲歩したか?
第二楽章はじっくりと鳴らしきるのでなかなか立派。2F前方にいたせいもあると思うが、弦楽器だけでなく管楽器もバランスよく聞こえてくる。第三楽章の茂木さんも良かったしね。
第四楽章でも急加速することなく、かといってダレることもなく、上手く鳴らしていく。ブロムシュテットは勢い一発的な乗りがあったし(リハは厳しいらしいが)、アルブレヒト/読響は第四楽章だけスラッシュメタルだったし、ジンマンが一番安心して聴いていられる。ジンマンに対して「安心」とか書くのにすごく違和感があるけど・・・ベートーヴェン交響曲全集のせいで「変な音を加える人」といったイメージがあるが、実はバランス感覚と統率力については素晴らしいということが分かった。
そんなこんなで、今までのジンマンのイメージを覆すような名演でかなーり見直した。
せっかくだから、現在空位の音楽監督にジンマンが就任すればいいのにね。「デーヴィッド」っていう表記はなんとかして欲しいが。

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